先進国病 2019 7 28

 豊かさを当然と思うことから転落は始まる。
豊かさとは、自転車のようなもので、
頑張ってペダルをこぎ続けなければならない。

書名 下流志向
    学ばない子どもたち 働かない若者たち
著者 内田 樹  講談社文庫

「新しいタイプの日本人の出現」
 最近は、教育を勘違いする子どもたちが増えているという。
教育とは、子どもにとって、教育を受ける権利であって、
教育を受ける義務ではありません。
 発展途上国では、内戦が終わって、平和が訪れると、
まず最初にやることは何か。
 空き地に机を並べて、青空教室ができて、
子どもたちが嬉しそうに勉強を始めるのです。
つまり、教育とは、子供にとっては、権利です。
 にもかかわらず、日本では、
子どもが義務感を感じながら教育を受けている雰囲気があります。
 近年、学力の低下が指摘されますが、
東京大学の教育学部の佐藤教授が、
その原因を探っていくと、
子どもたちの怠惰や教育技術の低下のせいではなく、
むしろ、子どもたちが積極的に、
学びから逃走し始めていることに起因することに気づいたという。
 教育機会から主体的決意をもって決然と逃走するということは、
当然にも、遠からず「下流社会」への階層低下を意味するのですが、
そういう下降志向の社会集団が登場してきたというのです。
 これが、文明が終わる「兆し」かもしれません。
1000年前、2000年前には、高度な文明があったと、
世界史の教科書には書いてあるのに、
今となっては、荒れ地となっている場所があります。
 著者によれば、教育の逆説は、
教育から受益する人間は、
自分が、どのような利益を得ているのかを、
教育が、ある程度、進行するまで、
場合によっては、教育過程が終了するまで、
言うことができないことにあるという。
 世界の人たちは、不思議に思ったでしょう。
国土が狭く、しかも国土の大半が山岳地帯で、
資源が乏しい日本で、なぜ、高度な文明が発生したのか。
普通ならば、貧しい国になるはずであると思うでしょう。












































































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